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【番外編】渦巻きヒッチハイク 第二・五夜 『美について』ゼイディー・スミス

美について

[あらすじ]

フォースターの傑作『ハワーズ・エンド』を下敷きに、レンブラント絵画の研究をめぐり対立するハワード家とキップス家と、その家族たちの群像劇を軽やかな筆致で描いた英オレンジ賞受賞作品。

2015年、河出書房新社刊。

 

皆さんお久しぶりです。ヨイヨルです。ようやく梅雨明け!夏本番!海か?山か?プールか?いやまずは、本屋!
ということで、今回もお届けします、流浪の文学対談シリーズ・渦巻きヒッチハイク

・・・と、いきたいところなんですが、今回は番外編です。
全国三千万人のファンの方には申し訳ないのですが、いつものボケ殺し対談相手、コパさんアートブックさんにはお休みいただいて、ヨイヨルソロでお送りします。

まずはこの本の著者のゼイディー・スミスについて。ゼイディーはロンドン北西部で75年生まれ。お母さんがジャマイカ人で、お父さんがイギリス人。ケンブリッジ大学在学中に書いた『ホワイト・ティース』(残念ながら絶賛絶版中)の草稿が各出版社から引っ張りだことなり、出版後はまたたく間にベストセラー。20カ国語以上にも翻訳されています。

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ゼイディーのご尊顔。うーん。才女顔。賢さがにじみ出ております。かわいい。 

で、『美について』。
遡ること三ヶ月ほど前、この本を次回の渦巻きヒッチハイクの課題本としよう!となり、頑張って読んだわけです。既刊『ホワイト・ティース』、そして『美について』の元ネタ本ことフォースター『ハワーズ・エンド』もヒーコラ言いながら読みました。

遡ること我々は表題の通りゼイディー・スミス『美について』を課題本として読み、ドラフトも完成し、よしこれであとは公開!となった時点で思ったのです。

 

「・・・コレ、おもんなくない?」

 

そう、何を隠そう、『美について』、我々はいまいち楽しめなかったんですよね。や、佳作ではあると思います。ゼイディーの文章の「巧さ」はとてもよく出ていたし、コロコロ転がっていくスラップスティックな物語の楽しさもありました。

しかし、とにかく冗長なのが私は特にダメでした。『美について』だけじゃなくて日本で翻訳されている既刊はどれも長い・・・。その理由のひとつとして、登場人物たちがとにかくおしゃべりで、会話劇で話が進むところ。(それが読みやすさにもつながっているから、ひたすらページ数はあるけれど読みにくいわけではないです。)でも私には「そんなしゃべんなくてよくない!?」っていう印象でした。あと、うーんもうこの際言ってしまうと、中途半端。前述したスラップスティック的なテンポの良さ、無いわけではないけれど、どこかゼイディーの冷めた眼があるというか。斜め上から事象を描いている感じがして没入はできなかったです。それが不満でした。

ということで、ゼイディー回は泣く泣くボツにすることに・・・。というのが三ヶ月前の出来事です。やっと傷が癒えたのでエントリとして書きました(笑)。
私は『美について』よりも『ホワイト・ティース』のほうが好きかな。白人にも黒人にもなりきれない、そして「移民アイデンティティ」的なものも実感として湧かない、そんな宙ぶらりんの若者たち、そして両親たちの葛藤が描かれている作品です。ラストもオープン・エンドで好き。もし興味があったら読んでみてください。絶版だけど、図書館にはあると思います。

そして!ゼイディー回の読者全員サービス特別ふろくとして用意していた、『美について』「作中登場主要絵画」の資料をここで公開します! ワーワー!これも結構がんばって作ったんだよ(泣)。これ、あると結構便利だと思いますし、読書の手助けになることは間違いなし(泣)。ぜひご活用ください。

以上!ボツネタ鎮魂エントリでした。次回は普通の対談にしますので乞うご期待。
それではまた。